素肌に感じるさらさらのシーツの感触が心地良い。
上にかけている毛布の温かみも。
そして何より、首の下を通るレオリオの腕枕が気持ち良い。
微睡む一歩手前の些細なやりとり。
レオリオもキルアもそれを好んでいた。
「レオリオ、俺達って何処から生まれてきたんだろう」
「そりゃあ、愛から」
「…じゃあ、どんな時に無くなるの」
「愛が霧散した時」
「挫けそうな時に自分に打ち克つには?」
「愛によって克ちえるさ」
「俺達も愛を見出す事って、出来るかな」
「それも、愛によって可能だな」
「結構つらい事有ったけど、長い間泣かずに済んだのは何でだと思う?」
「愛の力だろ」
「…ブッ!何だよ、何でもかんでも『愛』だって!ハハハ」
大真面目な顔をしてレオリオが答えるので、遂にキルアは耐え切れずにベッドの上で腹を抱えて笑い出した。
「レオリオ、結構電波だな。腹イテー」
「いやいや『愛』が真理なんだって」
おどけてレオリオは答える。
「キルアももう少し、情緒とかロマンチシズムってものをだな」
「もう無理!もう無理!笑い過ぎで窒素する!!」
笑い過ぎて目尻に涙を浮かべたキルアの右肩に乗っていたレオリオの手に、僅かな力がこもったのを感じて、キルアは静かになってその胸に顔を寄せた。
本当は知っている。
こんな風を装って、仲間の中でレオリオが一番現実的である事を。
誰よりも長いスパンで物事を見ている。
復讐や目標で手一杯の仲間が、それを成し遂げた時、或いは挫折を味わった時、どう対応すべきかを考えている。
けれど、それは表に出さない。
人の心を和ませるが為の偽りのロマンチスト。
キルアにもそれが分かっている。
だから、
「俺達をずっと結びつけるのは何だと思う?」
聞かれて答える。
「愛なんじゃない?」
━━━ゲーテ格言集『シュタイン夫人へ』より本歌取りw━━━━
かつての専攻はゲーテでも何でも無いので、そっち方面の突っ込みは無しでお願いします。
一番イタイと思っているのは私だ。
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